アフェクティブイノベーション協会

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ai Cafeとは、協会理事による、それぞれ個別にテーマを設けた勉強会です。
AIA理事による、それぞれ個別にテーマを設けた勉強会です。 テーマに対する発表と参加者による活発な意見交換が特徴です。




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SKEL セミナー参加レポート
報告者:K・I (帝国ではない)
日時 : 2018 年2 月15 日(木)
    19:00(開場 18:30) ~ 21:00
場所 :九州大学サテライトオフィス(有楽町)
講師 :椎塚久雄(SKEL)
テーマ:社会物理学2 ~アイデアの流れが組織の能力を決める~



今回の参加レポートを仰せつかりましたK・Iです。
いつもに増して熱く、深く議論が盛り上がり、私のつたない理解力と文章力では、とても紹介しきれません。すっかり途方に暮れていたところ、椎塚先生が自らFB にレポートいただきました。そちらを引用させていただきつつ、当日の様子を少しだけ紹介いたします。


この世界には、対局にあるものがいろいろあります。我々はそれに謙虚に耳を傾けなければならないと思います。「共感vs 反共感」、「量的vs 質的」等々。我々の周囲には、パンくずデータのような個人データが散乱していますが、そこには宝の山が隠されているのです。そこに目を向けることは、社会物理学の大きな課題でもあるのです。
今回のテーマは、「アイデアの流れが組織の能力を決める」ということで、始まりました。話題が多彩ですが、まず、「創造性は個人の才能ではなく群衆の英知」によって決まるというのは重要なことです。つまり、人は社会的学習によって創造性が発揮されるということです。

イノベーションや創造力といった話をすると、一般に次のような考え方をする人が多いでしょう:「抜群に頭の良い、ごく少数の人々だけが、素晴らしいアイデアを生み出す魔法の力を持っている。それ以外の凡人は、アイデアを浮かぶように祈るしかない」。しかし、これは間違っているのです。優秀で聡明な人たちは驚くほど「普通の人々」であるとは、スティーブ・ジョブズの言葉で、次のようなことを言っています:創造力とは、物事を結び付ける力にすぎません。

クリエイティブな人々に「どうやってそれを思いついたの?」と尋ねても、彼等は、バツの悪い思いをするだけでしょう。彼等は思いついたのではなく、目にしたに過ぎないからです。しばらく眺めているうちに、彼等の目にははっきりと形が浮かんできます。クリエイティブな人々は、自らの経験をつなぎ合わせ、新しいものを合成するのです。探求者は常に創造的で深い洞察力を持つ」。最も生産性の高い人々は常に新たなモデルを構築し、テストしており、新たに見つけたアイデアをモデルにつけ加えて、出会う人々すべてに意見を求めようとするのです。(SKEL facebook より)


弱音を吐いておりましたので、助け舟を出していただき、ありがとうございます。
(以下、完全に蛇足ですが、、、、)
私からは、議論の最中に、椎塚先生と参加者の皆さまから飛び交った示唆に富んだキーワードの中からごく一部について、議論の雰囲気と共にお伝えしたいと思います。

【(プロローグ)パンくずデータの価値とは】


個人の行動の痕跡を残したデータは、
・インターネット時代への新たな「石油」
・デジタル時代における「通貨」
といえるほどの価値となるポテンシャルがある。

我々が “エネルギー”あるいは“価値”としてこのポテンシャルを十分に活かしていくためには、どうすればよいのでしょうか?そのヒントを見出せるのか大いに期待が高まります。

【情報≒エネルギー】


・情報/アイデアを物理学における「エネルギー」のアナロジーとして捉えられる。
例えば、
・アンケートの限界は、エネルギー変換における損失に相当
・情報/アイデアの流れは、人々の行動によって生じる。
人々の間をどのように伝っていくのか、エネルギーの流れとして捉える事で、物理現象として科学的なアプローチができるのかもしれません。情報(文字、画像、さまざまな記録、、、)が、エネルギーとして消費されていくとは、どういう事でしょうか?、情報を消費する事によって、まるで電球が灯ったり、自動車が走ったり、多くのヒトが乗った船が動いたりするかのように、ヒトの活動が促され、社会が構成されていく、アナロジーによってイメージが膨らみます。

【人間はアイデアを処理する機械】


・探求とは、アイデアの流れの一つ。いかに良いアイデアを発見し、優れたアイデアに結び付けるか。
・探求者は、創造的であり、深い洞察力によって、高い生産性を実現できる新しい【モデル】を構築しようとする。
・「探求」のポイントは、1)社会的学習 2)多様性 3)他人と反対の行動。
これからのバランスが重要で
ある。

3 つの「探求」のポイントのバランスをとるという事はどうイメージできるのでしょうか。3つの異なるキャラクタが大きな円盤でバランスをとっている?、探究者が3つのボールをもって綱渡りを行っている???この点については、イメージするだけでは理解には程遠いようです。


・議論の中の意見をいくつかご紹介しておきます。
■ 人間はアイデアを処理する機械
・社外メンターが必要/アイデアは社外で生まれる/【セミクローズ】が良い。(N 氏)
・素粒子:まっすぐに動く/環境要因による、ふるまいが変動する。
自由電子のふるまい/ある範囲の中で結合する。(N 氏)
■ 集団的知性
・【アイデアの流れが適切】である事が、優れた意思決定には必要(椎塚先生)
・変人がかき回さないと実現しない。(M 氏)
■ 構造的空隙
・重要。ただ漁夫の利という事とも異なる?
・利を求めているのが透けて見えるケースは良くない。(ALL)
・規範となる「行動」への【接触量の操作】が重要(椎塚先生)
→「イノベーションとは行動に移すか、移さないか、真似する事が必ずしも悪い事とはいえない。
■ 無意識の行動、異質な集団による効果
・クォーク、電子、いずれも自分と違う性質を持っている同士でなければ結合できない。 初めて自分と違う性質を
持つことで相互作用が生まれる事と似ている。(N 氏)
■ 【アブダクション、飛躍leap】=速い思考なのか?
・通常は、S×F は常に一定。アブダクションが起きた時、これが飛躍するのでは(M 氏)
・「ギリシャ時代からの、、、類推、類似、アナロギアも同様の事象(椎塚先生)
・仮の結論として、いわゆる速い思考、とはいえない。継続課題にしましょう(椎塚先生)
■ 集団的知性はアイデアの流れによって生まれる
・もはやCS の時代ではない。(O 氏)
・ワークハピネス、視覚化サービスに興味あり。(N 氏)
■ 次回のテーマ【エンゲージメント】
・日本語にはない概念。「 献身」という言葉がイメージに近い。西洋の宗教的な思想、背景があるのでは。(O氏)

エピローグ~さいごに

会の議論の印象をイラスト化するとこのような感じでしょうか。
あらかじめ描いてきたアイデアの下絵に、先生が用意しきたたくさんの画材(キーワード)と多様なジャンルの専門家の皆さんから出てきた多彩な絵の具(意見)を使って色付けしていきます。おぼろげにしか見えなかった絵が徐々に浮かび上がっていくかの様です。