アフェクティブイノベーション協会

aiCafe

ai Cafeとは、協会理事による、それぞれ個別にテーマを設けた勉強会です。
AIA理事による、それぞれ個別にテーマを設けた勉強会です。 テーマに対する発表と参加者による活発な意見交換が特徴です。




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SKELセミナー
日時 :2019 年8 月22 日(木)
    19:00(開場 18:30) ~ 21:00
場所 :九州大学サテライトオフィス(有楽町)
講師 :椎塚久雄(SKEL)
テーマ:アフェクティブイノベーション XVI(3)
    センスメイキング ー 本質的に重要なものを見極める力
    ー アルゴリズム全盛時代に取り組むべきはセンスメイキング ー
今宵(8/22)のSKELセミナーは、「センスメイキング」について大変盛り上がった議論を展開しました。
そもそもセンスメイキング(sense making)そのものについて、その意味や役割を把握する必要があります。
センスメイキングはある意味「哲学的」な側面を持っています。
それは昨今のブームとでもいうべき、AIや機械学習を担う、
いわゆる「アルゴリズム思考」が重くのしかかっている状況の中で、
その対極にあるセンスメイキングの立ち位置を明確にする必要があるのです。
センスメイキングを理解するには、人文科学の概念は欠かせません。人文科学では
「我々はいつでも、どこでも同じ世界を前にしている」という前提を採らないで、
むしろ我々は、つねに世界の別の相を、 別の視座から、別の宇宙論(cosmology)の中から見ている、
そのように考えるのです。
残念ながら、いまの社会はそのような知的努力を評価する仕組みがないのは事実です。
全員が同一の価値観を共有し、同一のルールにしたがい、相対的な優劣を競い、その格付けに基づいて資源を分配する、
そのような仕組みを作り出すことを「グローバル化」と呼んでいますが、現状では官民挙げてそれに励んでいるのです。
いまの(日本の)教育行政が人文科学を嫌い、その必要性を侮るのは、そのせいかもしれません。
しかし、それは人文科学から見れば「知性の死」となると言っても過言ではありません。
Glassdoorは、現従業員および元従業員が匿名で会社をレビューするWebサイトですが、これを使用すると、
ユーザーは匿名で給与を送信して表示したり、プラットフォームで求人を検索して応募したりできます。
企業の評判等を社員が評価するサイト「グラスドア」では、「求人数」「給与」「昇進機会」の観点から
2016年のアメリカナンバー1の職種は「データサイエンティスト」であったと発表しています。
我々はデータが多ければ気づきやひらめきも多くなると信じ切っているのです。
Facebook のCEO Mark Zuckerbergは、「フェイスブックで機械学習を活用し、
「世界のありとあらゆる事象を網羅する決定的なモデルを構築する!」と言っています。
このようなことからも分かるように、現在は「理系偏重」の傾向がかなる強く蔓延していることが分かります。
ここで確認しておくべきことは、「STEM(科学、技術、工学、数学)を軽視してセンスメイキングを重視せよ」と
言っているのではありません。両者のバランスを考えてセンスメイキングの真の姿を把握しなければならないのです。