1.初期トルクとは
図1 イノベーションを起こすには大きな初期トルクが必要―その比喩的イメージ
2.社会の動向―Society 5.0
図2 Society 5.0で実現する社会 https://www8.cao.go.jp/cstp/society5_0/index.html
図3 サイバー空間とフィジカル空間の高度な融合(URLは前出)
図4 経済発展をしつつ社会的課題の解決を(URLは前出)
3.ビッグデータ時代におけるイノベーションの課題─知能とは
https://en.wikipedia.org/wiki/Mainstream_Science_on_Intelligence
・抽象的な思考あるいは推論(99.3%の研究者が合意)
・問題解決能力(97.7%の研究者が合意)
・知識を得るための能力(96.0%の研究者が合意)
これから分かることは、99.3%の研究者が合意している「抽象的な思考あるいは推論」は、非常に特徴的です。このことは、現在のようにビッグデータ時代になっても、私たちは避けて通れない重要な内容を示唆しています。重要な部分は図5に示すように、知能とは見抜くためのより広い能力を表していることになります。
図5 問題は「いかに見抜くか」ということ
ビッグデータの3V
・Volume(情報の規模・量)
・Velocity(処理速度)
・Variety(多様性・種類)
が重なってきたからだとみなすこともできます。これら3つのVに囲まれたので、どこかに突破口を開けなければならないが、「これぞ」といった決め手を欠いているのです。現状では、会社ごとにやたらにデータ処理要員を増員して、多額な予算をかけて必要な情報の解釈をせざるをえなくなっています。つまり、従来はそれぞれのパソコンには、ソフトウェアを購入してインストールしなければならなかったので、パソコンには高性能が求められていました。それが、クラウドコンピューティングの時代になると、クラウド内のサーバー群から必要なソフトウェアやデータ、情報システム等を利用できるから、個々のパソコンは最小限の機能で端末の性能を超えた能力を発揮することができるようになってきたのです。このことが従来と現在の最も大きな違いになっているわけです。図6は、そのような状況をイメージ化して示したものです。
図6 クラウドコンピューティングのイメージ
感性認識論の必要性
4.日本はイノベーション後進国―デザイナーの役割とは
デザイナーの役割
図7 未来≠どうなるか? 未来=どうしたいか?
図8 優先順位は「革新したいこと→異分野の専門知識→社会の潮流」
5.技術中心から人間中心へ
図9 技術中心から人間中心への変遷
図10 デザイン思考はイノベーションを起こすための1つの捉え方
図11 デザイン思考の基本的な思考プロセス
6.デザイン思考とPDCAサイクル
図12 デザイン思考はPDCAサイクルとして考えられこともできる
7.デザイン経営がもたらす意味
①経営チームにデザイン責任者がいること
②事業戦略構築の最上流からデザインが関与すること
の2つがあります。
図13 デザイン経営の効果
図14 両者は同じことではないか?
図15 感性価値―感性が経済価値を生む
8.クリエティビティの4つの帽子
図16 クリエイティビティの4つの帽子―創造性のコンパスモデル
9.日本での課題とその方策―未来デザイン論へ向けて
図17 文化的断絶をどう乗り越えるか
イノベーションテトラ
図18 イノベーションテトラと創造性のコンパス
図19 デザイン経営は創造性のコンパスの全体と関係を持つことで推進される
図20 経営とデザインの幸せな関係はどこから
感性テトラ
図21 感性テトラと創造性のコンパスは
感性テトラの実装
デザイン思考=デザイン-ビジネス
アブダクション=感性-分析
類推法=分析-デザイン
ネットワーク科学=感性-ビジネス
センスメイキング=分析-ビジネス
図22 新しい世界を開拓する感性テトラの実装
10.むすび
文 献
[1] 各務太郎:デザイン思考の先を行くもの、クロスメディア・パブリッシング、2018年11月[2] 佐宗邦威:21世紀のビジネスにデザイン思考が必要な理由、クロスメディア・パブリッシング、2015年8月
[3] 経済産業省・特許庁:「デザイン経営」宣言、産業競争⼒とデザインを考える研究会、2018年5月
[4] 木本直美、外山雅暁、菊池拓也:産業競争力の向上に不可欠「デザイン経営」の役割とは?「デザイン思考」とブランド戦略、宣伝会議12月号、平成30年11月
[5] Rich Gold, The Plenitude: Creativity, Innovation, and Making Stuff, The MIT Press, 2007
[6] 伊藤穣一:「ひらめき」を生む技術、角川選書、2013年12月
[7] 椎塚久雄:新しいアイデアは推論のプロセスから生まれる―感性4.0時代におけるアフェクティブイノベーションのあり方―、日本感性工学会会誌 感性工学、Vol.15、No.3、pp.133-153、2017年12月
[8] 中川淳:経営とデザインの幸せな関係、日経BP社、2016年11月